部屋に役目をつける
──戸建てと集合住宅で違う、住まいのインテリア基本
「インテリアを整えたい」と思ったときに、多くの方がまず手に取るのは家具のカタログやSNSの素敵なお部屋写真ではないでしょうか。けれど、家具を選ぶ前にやるべきことがあります。それは、部屋に役目をつけること。
ここで美美Styleが提案する部屋に役目をつけるは、サリーの座学インテリアトータルレッスンの中核フレームワーク。住まいのお悩みの大半は、ここをすっ飛ばすことから始まっています。「お部屋に役目をつけていますか?」というサリーの問いかけが、すべての出発点です。
そして、戸建てと集合住宅では、役目のつけ方もインテリアの選び方もまったく違います。お住まいに合わせた基本を整理してまとめました。
賃貸の集合住宅で長く暮らす美容家サリーが、インテリアレッスンで毎回お伝えしている住まいの基本、ここに公開!(笑)
なぜ「役目」が先なのか
「リビング」「寝室」「書斎」──部屋の名前だけはあるのに、実際には何でも置く場所になっていないでしょうか。リビングに洋服が散らかり、寝室に書類が積まれ、書斎が物置になっていく。部屋の名前は決まっているのに、本当の役目が曖昧なまま暮らしている方は少なくありません。
役目が曖昧な部屋には、判断軸がないまま物が増えていきます。「これ、どこに置こう?」と迷うたびに、目の前のスペースに置く。気づくとどの部屋にも何でもある状態になり、片付けがまわらなくなります。
これに対して、役目がはっきりしている部屋は、入っていい物・入ってはいけない物がはっきりする。寝室は寝るための場所、リビングはくつろぐ場所、と決めてしまうと、自然と物の住所が決まっていきます。「整理収納と『割れ窓理論』」で書いた「ものに住所を与える」発想の、もう一段手前の話です。
役目をつけたら、その部屋に入る物を選び、収納する。収納する物別で家具を買うことになるので、家具選びにも明確な根拠が生まれます。これがインテリアの土台です。
役目をつける前に ──「自分に正直に」
役目をつけるとき、ひとつ大事な前提があります。それは自分に正直に考えること。
- 料理が好きか? 苦手か?
- 掃除が好きか? 苦手か?
- 家族との距離感はどう保ちたいか?
- 体調不良の時も散らかりすぎない状態を保てるか?
サリーがレッスンで必ず聞くのが、料理と掃除への正直な気持ちです。「料理が苦手なのに憧れだけで広いキッチンを整える」「掃除が苦手なのに装飾の多いインテリアを選ぶ」──こうした選択は、結局リバウンドのもとになります(サリー自身も料理が苦手なので、キッチンの上はとにかく何も置かない方針です・笑)。
体調不良の日でも、散らかりすぎない状態。家族に気を使いすぎなくても、無理なくキレイを保てる状態。この状態を作るのが、自分に正直な役目のつけ方です。
戸建てと集合住宅 ──できることが違う
役目をつけるときの考え方は、お住まいの形で大きく変わります。戸建てと集合住宅は、できることがまったく違うからです。
戸建ての特徴
- 部屋数が多く、役割を分けやすい
- リフォーム可能で、時間とともに変えていける
- 収納場所が多いので有効活用が鍵
- 面積が広い分、掃除の手間が比例
- 家族との距離感を意図的に設計できる
戸建ては自由度が高い分、自分で動線を想定する力が問われます。リビングから寝室、寝室から洗面所、洗面所からキッチン──毎日の動きを想像して、部屋の役目とつなぎ方を設計します。これが集合住宅以上に大事になります。
集合住宅の特徴
- 部屋数が限られるため、役目の重ね使いが必要
- 大規模リフォーム不可(分譲マンションは一部可)
- 引っ越しの予定があるかどうかも視野に入れる
- 今の住まいのポテンシャルを最大限に活かす発想
集合住宅は制約が多い分、今あるものを最大化する発想が向いています。「ここをこうしたい」より「この間取りで何ができるか」を考えるほうが、現実的に整います。リフォーム前提の計画は、引っ越したら水の泡になりかねません。
共通する大原則 ──「自分に正直に」「役目をつける」
戸建てでも集合住宅でも変わらないのが、自分に正直に役目をつけること。料理が苦手なのに広いキッチン、掃除が苦手なのに装飾過多──これは住まいの形に関わらず、リバウンドの原因になります。
クローゼット三軍管理で書いた「ライフスタイルに合わない服は手放す」と同じ発想を、住まい全体に当てはめていきます。
インテリアスタイルの選び方 ──床の色から始める
役目をつけたら、次はインテリアのスタイル選びです。ここでサリーが推奨するのは、床の色から決めるやり方。
理由はシンプルで、床は変えられない(または変えにくい)から。床の色に合わせて家具とカーテンを選ぶほうが、結果的にちぐはぐにならず、長く心地よい空間になります。
床と木材の関係
これは戸建てでも集合住宅でも共通の原則です。インテリアにどこまで力を注ぎたいかを考えながら、床に合わせて家具を選んでいきます。
集合住宅の方におすすめのスタイル
集合住宅の方には、白基調のテイストが万能です。具体的には次の5タイプ:
- ナチュラルモダン:白+明るい木材/無印良品で揃えるなら全部無印に
- カントリースタイル(北欧):グレイッシュな配色+木・紙・布の素材
- ジャパンディ:北欧+和風/テレビやパソコンの黒となじませる
- モノトーンスタイル:白+グレー基調/黒は差し色程度に
- 和モダン・大正ロマン:直線的・重厚感/レトロ志向の方に
男前インテリア(ミッドセンチュリー・インダストリアル・ブルックリン)やゴシック・洋風スタイルは、間取りが広い空間が得意なため、集合住宅では上級者向けになります。特にこだわりがない方は、家具は基本白がおすすめです。
戸建ての方におすすめのスタイル
戸建ては集合住宅で挙げたスタイルすべてに加えて、男前インテリア・ゴシック・洋風スタイルも選択肢に入ります。広い間取りを活かして、解放感のあるスタイルが楽しめるのが戸建ての特権です。
部屋数が多いので、部屋ごとにインテリアを変えるのもアリ。リビングは北欧、寝室はモノトーン、書斎は男前──こうした使い分けは、戸建てだからこそできる楽しみです。ただし、家全体の統一感も意識しないとちぐはぐになるので、床と内装の色を全体の軸として持つのが大事です。
家具選びのコツ ──「フォルム統一」と「ぎちぎちにしない」
スタイルを決めたら、家具選びです。サリーが座学で繰り返し伝えているコツが2つあります。
コツ1:椅子とテーブルのフォルムを統一する
ナチュラルモダンや北欧スタイルでは、椅子とテーブルのフォルムを統一するだけでオシャレ度が一段上がります。
丸テーブルなら、角がない椅子
直線的なテーブルなら、直線的な椅子
逆に、モノトーンスタイルではあえてフォルムを統一しないほうが良い場合もあります。スタイルによって判断が変わるので、自分の選んだスタイルに合わせて調整します。
コツ2:家具をぎちぎちに詰めない
これは特に北欧スタイルで重要ですが、家具をぎちぎちに詰めないゆとりを持つこと。
「収納をフルに活用しよう」と家具を並べすぎると、空間の余白がなくなって圧迫感が出ます。家具と家具の間にゆとりを持たせることで、解放感のある空間になります。集合住宅で部屋数が限られるなら、なおさら1部屋に詰め込まない判断が大事です。
コツ3:無印良品とお財布の相談
ナチュラルモダンを目指す方が陥りがちな罠が、無印良品で全部統一する話です。無印は素晴らしいブランドですが、統一感を出すならほぼ全部無印にする必要があるため、お財布への影響が大きくなります。
サリー流の現実解は、メインの家具だけ無印で揃えて、収納用品やラグはニトリ・IKEA・100均で補う方針。詳しくは映えない収納が最強|空き箱・紙袋・壁美人で作る、賃貸インテリアの3順位で書いた「ある物・賃貸拡張・買い足し」の3順位の発想とつながります。
札幌の住まいに ──雪国ならではの考慮点
最後に、札幌で暮らす場合の補論です。
戸建ての方
戸建ての方は、雪かきと暖房効率が大きなテーマです。玄関まわり・ベランダ・カーポートに関わる収納や動線設計が、毎冬の暮らしの快適さを大きく左右します。物置・倉庫の使い方を含めて役目をつけるのが、雪国の戸建てならではのポイント。
集合住宅の方
集合住宅の方は、雪国の暖房効率と結露対策が中心。窓際の家具配置で結露が悪化しないか、暖房の効率を妨げないかなど、寒冷地ならではの考慮点があります。詳しくはズボラ防災 五軸でも触れた、停電時の室内環境の話とも繋がります。
まとめ ──役目をつけて、住まいに合わせて選ぶ
部屋に役目をつけるための、住まいのインテリア基本を並べてみると、こんな感じです。
ひとつ、自分に正直に:料理・掃除・家族との距離感を、自分の本音で見つめる。
ふたつ、部屋に役目をつける:寝る場所・くつろぐ場所・働く場所を、明確に分ける。
みっつ、戸建てか集合住宅か:できることの違いを踏まえて、リフォームか今を活かすかを判断する。
よっつ、床の色から決める:薄い床なら薄い木材、濃い床なら濃い木材+グレー系。
いつつ、スタイルは万能の白基調から:集合住宅は白基調がおすすめ。戸建ては部屋ごとに変えるのもアリ。
「インテリアにどこまで力を注ぎたいか」は人それぞれ。SNSの素敵なお部屋を真似する前に、まずは自分の住まいに役目をつけることから始めてみてください。「お部屋に役目をつけていますか?」というサリーの問いを、ぜひ毎日の暮らしに持ち帰ってもらえたらうれしいです。
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よくあるご質問
- Q. 「部屋に役目をつける」とはどういう意味ですか?
- A. お部屋それぞれに「ここは寝る場所」「ここはくつろぐ場所」「ここは仕事する場所」というように、明確な役目を決めることです。役目が曖昧な部屋には、判断軸がないまま物が増えていきます。役目を決めると、入っていい物・入ってはいけない物が自然と決まり、家具選びの根拠も明確になります。サリーの座学インテリアレッスンの中核フレームワークです。
- Q. 戸建てと集合住宅でインテリアを変える必要がありますか?
- A. はい、できることの違いがあるため、変える価値があります。戸建ては部屋数が多くリフォームも可能なため、男前インテリアやゴシックといった解放感のあるスタイルも楽しめます。集合住宅は部屋数が限られ大規模リフォームが難しいため、白基調のナチュラルモダン・北欧・ジャパンディなどがおすすめです。
- Q. 集合住宅でやりがちな失敗はありますか?
- A. 大規模リフォームを前提に計画してしまうことがいちばん多い失敗です。集合住宅は引っ越しの可能性も視野に入れる必要があるため、「今の住まいのポテンシャルを最大限に活かす」発想で考えるのが現実的です。家具を買い込みすぎないこと、白基調で柔軟性を持たせることが、長期的にはラクになります。
- Q. インテリアスタイルはどう決めればいいですか?
- A. 床の色から決めるのがおすすめです。床は変えにくいので、床の色に合わせて家具と内装の色を選んでいきます。薄い床には薄い木材、濃い床には濃い木材+グレー系が基本ルール。スタイルが決まれば、合う家具メーカーやテイストも自然と絞れてきます。
- Q. 無印良品で揃えると統一感が出るって本当ですか?
- A. 本当ですが、ほぼ全部を無印良品にする必要がある点にご注意ください。途中まで無印で進めて、途中から他のブランドを混ぜるとちぐはぐになりやすいです。お財布との相談が必要なので、メインの家具だけ無印で、収納用品はニトリ・IKEA・100均で補うやり方が現実的です。
- Q. インテリアの相談はできますか?
- A. はい、インテリアトータルレッスンで対応しています。座学で住まいの基本を学んでから、ご自身のお住まいに合わせた実践に進む形です。戸建てか集合住宅か、家族構成、好みのスタイル、予算まで含めて、お一人おひとりの暮らしに合わせてご提案します。詳しくは美美サービスのページをご覧ください。