美容コラム

『おしゃれの研究室』美美Styleの読みもの

防災ズボラ防災五軸

ズボラ防災 五軸
──食・服・足・電源・美容で、頑張らずに備える

ズボラ防災五軸(1)

災害は、特別な日に起こる出来事ではなく、いつもの暮らしの延長線にある現実です。日本に住む以上、地震・水害・停電は誰にでも訪れる可能性があります。それでも、特別な防災グッズを買い揃えて分厚いマニュアルを読み込む──というやり方では、ほとんどの人が続きません。気がつくと「いつかやろう」のまま、何年も経ってしまった方も少なくないのではないでしょうか。ここでは美美Styleが提案するズボラ防災 五軸──食・服・足・電源・美容の考え方をまとめます。「頑張る防災」ではなく、「日々の暮らしを少しずつ防災仕様にしていく」という発想です。

胆振東部地震でブラックアウトを経験したサリーが、ズボラなりにたどり着いた答え、ここに公開!(笑)

なぜ「五軸」なのか

ズボラ防災五軸(2)

「防災」と聞くと、多くの方がまず思い浮かべるのは、防災バッグの中身ではないでしょうか。中身の充実に意識が向きがちですが、それだけでは、災害発生から避難所生活、その後の長期化まで、すべてのフェーズには対応しきれません。

ズボラ防災五軸(3)

美美Styleが提案するのは、防災を5つの軸に分けて組み立てる考え方です。

食:最も基本的な備え。3日分では足りない時代になっています

5軸はそれぞれ独立した課題に見えて、実際の災害時には連動して効いてきます。ひとつずつ見ていきましょう。

第一の軸 ──「食」:1週間分では足りない時代

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家庭の食料備蓄は、長らく「3日分」が標準とされてきました。けれど実際の災害現場では、物流が止まったり、感染症で買い物に出られなかったり、ライフラインの復旧に時間がかかったり──こうした状況が重なると、3日では到底足りません。最近は、最低でも2週間、可能であれば1ヶ月分の備蓄を勧める専門家が増えています。

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備蓄を組み立てるときは、3つの要素で考えると整理しやすくなります。

ひとつ目は、主食の確保。米・パスタ・乾麺・パックご飯など、常温保存できる炭水化物を、1人あたり1日3食×日数分で考えます。

ふたつ目は、たんぱく質と野菜。災害時にいちばん不足するのが野菜です。缶詰のサバや鶏肉、レトルトの煮豆、乾燥野菜・乾物を備える価値が高くなります。乾燥野菜はお湯を注ぐだけで戻るので、ガスコンロや非常用カセットコンロがあれば即席の汁物ができます。

みっつ目は、甘いものと嗜好品。グミ、チョコレート、フルーツ缶詰、羊羹といった糖質の備えは、ぜいたく品ではなく心理的な救命具です。緊張しきった体は糖質を欲しますし、好きな味の存在が心をぐっと支えてくれます。

レトルトカレーは備蓄として人気ですが、栄養面ではたんぱく質と野菜が不足しがちなので、メインの非常食として頼り切るのは避けたいところ。あくまで補助的な位置づけにするのがおすすめです。

備蓄の調達手段としては、ふるさと納税の活用が現実的です。節税にも備えにもなる、ちょっとしたいいとこ取りで、お店の品薄を心配せずに進められます。缶詰、乾物、保存水などを返礼品として選ぶと、無理なく備蓄量を増やせます。

第二の軸 ──「服」:「清潔」は保ち、「清潔感」は捨てる

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避難所生活で、意外と意識されにくいのが服選びです。災害下の集団生活では、普段では考えにくいような犯罪が起こりうる場面もあり、特に女性・子どもの性犯罪リスクは、過去の災害からも繰り返し報告されてきました。

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では、災害時の服はどう選べばいいのでしょうか?

ここで美美Styleがお伝えしたいのは、「清潔」と「清潔感」は別物だという考え方です。

「清潔」は、衛生面を保つこと。手洗い、歯磨き、最低限の身体清拭は、感染症予防のためにも欠かせません。

「清潔感」は、第三者から見て「整っている」と感じさせる印象。これを災害時には意図的に排除する選択が、自分を守ることに繋がります。具体的には、髪を凝って整えず後ろで一つに束ねるだけにする。女性らしい色やデザインの服を避け、可能な限り男性的・中性的な装いに切り替える。香水や香りつき製品も避けます。

このため、防災用の衣類セットには、無地・暗色・男性用Lサイズのトレーナーやスウェットを混ぜておくことをおすすめします。下着・靴下を含めて1週間分を圧縮袋にまとめれば、場所を取らずに備えられます。冬季の札幌を想定するなら、保温性の高いインナーや靴下も同じセットに加えておきます。

第三の軸 ──「足」:スリッパとインソールで初動を守る

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地震発生から数十秒〜数分の初動で、いちばん多く起きる怪我のひとつが、ガラスや陶器の破片による足の負傷です。食器が落ちて、窓ガラスが割れて、家具のガラス扉が壊れる──その状態で素足のまま歩けば、避難自体できなくなります。

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対策の原則はシンプルで、「家の中で足を裸にする時間を作らない」こと。

日常的にスリッパを履く習慣をつけて、寝室には鉄板入りインソールを仕込んだスニーカーを常備します。鉄板入りインソールはワークウェア店や通販で1,000〜3,000円程度で買えて、ガラスの貫通をしっかり防いでくれます。

スリッパの素材も大事です。底面が薄いビニール製スリッパは、いざという時には頼りになりません。底が厚く、できれば踵まで覆う形のスリッパを選ぶと、急いで履いた状態でも脱げにくく、長時間の歩行にも耐えてくれます。

普段使いと防災を兼ねた装備にすると、特別な「防災用品」を買い足す必要がなくなる──これがズボラ防災の、いちばん大事な発想です。

第四の軸 ──「電源」:停電を「想定内」にする

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2018年の北海道胆振東部地震では、北海道全域で「ブラックアウト」と呼ばれる広域停電が発生し、復旧まで数十時間かかりました。この経験から、札幌で暮らす人にとって停電対策は、肌身で感じる備えになっています。

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最低限揃えたいのは3点です。

ひとつ目、懐中電灯(できれば防雨仕様)。雨や雪の中での移動を想定するなら、家電量販店で買える防滴・防雨タイプが安心です。寝室・玄関・キッチンの3箇所に分散して置いておくのが基本形になります。

ふたつ目、モバイルバッテリーまたはポータブル電源。スマートフォンの充電が切れると、情報源と連絡手段を同時に失います。最低でも2回以上満充電できる容量のモバイルバッテリーを常備し、月に1度は充電状態をチェックします。ポータブル電源は5万〜10万円と高価ですが、近頃は3万円台の製品も登場していて、家庭の事情に応じて選べる選択肢が増えてきました。

みっつ目、冷蔵庫対策。停電時、冷蔵・冷凍庫の食材は数時間で傷み始めます。ポリ袋に水を入れて冷凍庫で凍らせておくだけで、停電時の保冷剤の代わりになってくれます。費用ゼロで、解凍後は飲料水としても使える二重の備えです。

冬季のブラックアウトを想定する札幌では、カセットガスストーブと予備カセットボンベが暖房面の生命線になります。電気を使わない暖房手段の確保は、北海道に住む以上、外せない備えです。

第五の軸 ──「美容」:衛生と尊厳を守る最低限

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「災害時に化粧をするなんて贅沢だ」という意見があります。けれど美美Styleは、これを古い理解だと考えています。美容ケアは、衛生も健康も心の余裕も支える、暮らしの土台であって、贅沢品ではありません。

サリーが胆振東部地震を経験した時、避難所ではなく在宅で過ごしましたが、その間も紫外線防止効果のあるパウダーだけは欠かさず使用していました。理由は明確で、ニキビや肌荒れは保険診療で後から治療できますが、紫外線によるシミ・シワは元に戻すのが極めて難しいから。「パウダーを薄くはたく」程度の手間で、長期的な肌ダメージを抑えられます。サリーの肌に現在ほぼシミがないのは、災害時にもこの最低限のケアを続けた結果という側面があります(さすがに肌への執念がすごい・笑)。

災害時の最低限の美容ケアとして、3点を備蓄に加えることをおすすめします。

ひとつ、紫外線対策のパウダー。日焼け止めクリームは塗り直しに水分が要りますが、パウダー単体ならコンパクト1個で1〜2週間しのげます。

ふたつ、無香料のドライシャンプー。断水・避難所生活で頭髪を洗えない期間、ドライシャンプーは衛生を保つ強い味方になってくれます。香料入りは平時には魅力的ですが、災害時はあえて避けます。これは第二の軸「服」と同じ理屈で、香りは性犯罪のリスク要因になりえるためです。

みっつ、オールインワンのスキンケア。水を使わずに保湿・UV対策・洗浄まで一気に処理できる製品があれば、限られた水と時間で最大限のケアができます。

日常の習慣そのものが、いちばん効く防災になる

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ここまでの五軸は、特別な防災グッズを揃える話というよりも、日々の暮らしの延長線で備えを組み立てる話です。実は、いちばん効く「防災行動」は、次のような日常習慣にあります。

使った食器をすぐ洗ってすぐしまう。 大地震発生時、放置された食器は床に落下して凶器になります。シンクに溜めない、テーブルに出しっぱなしにしない、という生活習慣が、瞬時の被害を減らします。

家具の上に重い物を置かない。 地震時、本棚やキャビネットの上に置かれた重い荷物は凶器になります。ガラスの花瓶、フレーム、置物といった装飾品も、収納するか地震対策ジェルで固定します。

収納の上限を守る。 物が床に積まれた状態は、避難経路をふさぐ原因になります。整理収納の基本である「ものに住所を与える」という原則は、そのまま防災行動と一致します。

整理収納と「割れ窓理論」で提案している「精鋭で揃え、すべてのものに住所を与える」という考え方は、結果として防災の基盤になっています。お客様からも「インテリアレッスンを受けたら、結果として防災にもなっていた」というお声をいただくことがあります。整理収納と防災は別の領域ではなく、同じ目的に向かう同じ活動として捉えるのが、無理なく続く備えへの近道です。

まとめ ──ズボラ防災 五軸は、暮らしの延長線

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ズボラ防災 五軸を、暮らしのチェックリストとして並べてみると、こんな感じです。

ひとつ、食は2週間〜1ヶ月分あるか? 主食・たんぱく質と野菜・甘いものの3要素で組み立てる。

ふたつ、服は男性的・中性的な防災用セットを別途備えているか? 「清潔」は保ち、「清潔感」は捨てる。

みっつ、足は守れているか? 寝室にインソール入りスニーカー、家中にスリッパ。素足で歩く局面を作らない。

よっつ、電源は確保できているか? 懐中電灯・モバイルバッテリー・冷凍庫の保冷ペットボトル。札幌ではカセットガスストーブも必須。

いつつ、美容の最低限を備えているか? パウダー・無香料ドライシャンプー・オールインワンを備蓄に加える。

これらすべてに共通するのは、特別な防災用品を別の場所に備蓄するのではなく、日常の暮らしと地続きの装備にするという考え方です。整理収納が日常的にできていれば、それがそのまま防災になっています。

防災は、気合でも完璧主義でもありません。ズボラなままで、続けやすい仕組みを作ること──これが、結果的にいちばん強い備えになります。胆振東部地震を経験したサリーが、ズボラなりにたどり着いた答え。次の地震や停電のニュースを見たとき、ぜひ思い出してみてください。

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よくあるご質問

Q. ズボラ防災 五軸とは何ですか?
A. 防災を「食・服・足・電源・美容」の5つの軸に分けて整理した、美美Style独自の考え方です。特別な防災グッズを買い揃えるのではなく、日々の暮らしを少しずつ防災仕様にしていくという発想で、頑張らずに続けられることを最優先にしています。胆振東部地震を経験したサリーが、ズボラなりにたどり着いた実践的な備え方です。
Q. 食料の備蓄はどれくらいの量が必要ですか?
A. 国の指針では3日分、現代の災害対策では1週間分が標準とされています。ただし、ライフライン復旧の長期化や物流停止を踏まえると、2週間分から1ヶ月分を確保する考え方が現実的です。主食・たんぱく質と野菜・甘いものの3要素を、家族の人数×日数で計算します。
Q. 「清潔感を捨てる」とは具体的にどうすることですか?
A. 避難所生活で性犯罪リスクから身を守るため、男性的・中性的な装いに意図的に切り替えることを指します。髪を凝って整えず、無地で暗色の服、ゆったりしたサイズ感、香りのある製品を避けるなどです。「清潔」は衛生面の話で、こちらは保ちます。両者は別物として考えるのがポイントです。
Q. 災害時にパウダーや日焼け止めを使うのは贅沢ではないですか?
A. 贅沢ではなく、長期的な肌ダメージを防ぐ実用的な備えです。ニキビや肌荒れは復旧後に治療できますが、紫外線によるシミ・シワは元に戻すのが極めて難しい。パウダーをはたく程度の手間で長期ダメージを抑えられるため、コストパフォーマンスの高い備えと言えます。
Q. 札幌で特に意識すべき防災対策はありますか?
A. 札幌は2018年の北海道胆振東部地震で全道ブラックアウト(広域停電)を経験しています。冬季の停電対策が他地域より重要で、カセットガスストーブと予備ボンベの確保、保温性の高い寝具、雪解け期の水害対策が特有の論点になります。
Q. 防災と整理収納はどう関係していますか?
A. 両者は突き詰めると同じ活動です。「ものに住所を与え、精鋭で揃える」整理収納の原則を実践していれば、自然と床に物が散らからず、避難経路が確保され、家具の固定もしやすくなります。日常の整理が、そのまま防災になるという関係です。詳しくは整理収納と「割れ窓理論」をご覧ください。
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